コンクリート診断士の合格に向けて受験する人は、いろんな勉強をしていると思いますが、その中でも一番困っていて不安なのは記述問題ですよね。
わたしも、独学で勉強しているのみでしたが、上司や先輩から記述問題が合格のカギを握っていると言われてすごく不安でした。
受験に費やした記述問題に対する勉強時間、使用していた参考書や具体的な記述問題の書き方についてまとめます。
Contents
記述問題の対策
択一問題とのバランス
わたしは、コンクリートの実務経験が2年程度しかないため他の受験者に比べると圧倒的に少なかったです。
なので、とにかく知識をつけることが先決だと思い、参考書を読む→択一問題を解くをひたすら繰り返しました。前年にコンクリート技士の資格を取得し勉強していたので、ある程度の知識はありましたが、それでも択一を重視していました。
なぜ択一を重視していたかというと、択一が解けない人は確実に記述問題を解くことはできないからです。(得意分野に当たればラッキーかもしれませんが、せっかく時間もお金もかかっているのだから運任せは嫌ですよね。)
ただ択一の勉強もたまたま正解すればOKではなく、4択ごとになぜ違うのか説明できるようになるまで繰り返し学習しました。
7月中旬にある試験ですが、記述式の対策を始めたのは7月上旬からで2週間程度しか勉強していません。(さすがに遅すぎて焦っていましたが、何とか合格できました)
記述式の勉強方法
記述式自体は内容を理解していれば、問題なく解くことができます。あとは実際に手を動かして過去問を解くのみです。
よく、手を動かさずに参考書を眺めて勉強される方がいますが、必ず鉛筆とノートを使って学習してください。理由は2つです。
1つ目は、書かないと頭に入ってこないし、自分の言葉で書かないと本番で手が動きません。本番の時は、まず構成を考え箇条書きで必要なことを書き出しながら解答用紙への文章をまとめていきます。なんとなく参考書の解答例を見ているだけでは、構成を練る力がなくなります。
2つ目は、文字を書かないと漢字を思い出せなくなるからです。現代は、仕事でも私生活でもパソコンで文字を打つと自動変換させるので、いざ文字を書くと漢字を忘れていることが多々あります。漢字のミスも減点につながります。タイピングの方が早いですが、試験勉強は必ず自分の手を動かしてください。
参考書
わたしは参考書を2冊使っていました。学生時代は複数の参考書を使うのは苦手で、1冊の参考書を徹底的に勉強するほうが、効果的だと思っていました。(今もそう思っています。)
ただ、コンクリート診断士のような記述のある試験では、同じ問題でも参考書によって答案の作り方が全然違います。それぞれいい点も悪い点もあると思いますので、自分が採点官だとどちらの書き方が分かりやすいのか比較していいものを自分の解答事例として作っていきましょう。
具体的な参考書は以下の2冊です。
コンクリート診断士試験完全攻略問題集
記述式の過去問と解答が10年分あります。
さらに解答だけではなく、それぞれの問題に対して押さえておくべきポイントが記載されているため、自分で書いた答案も添削しやすいです。
記述問題とは別ですが、択一問題もオリジナル問題が100題あり豊富で、解説も分かりやすいので、択一重視で勉強していた私がメインで使っていた参考書です。
コンクリート診断士徹底図解テキスト
過去問7年分の記述問題の解答例があります。
完全攻略問題集よりは少ないですが、NGの解答例もあり、どういう解答がだめなのかわかりやすく解説されています。自分の答案と見比べながら添削することができます。
さらに、劣化要因ごとにまとめられていたり、図解が多く入っているので、知識があまりなく自信がない人にもまず手に取って見てみるだけでもはじめはおすすめです。
具体的な記述ポイント
年ごとに問題はもちろん異なっているが、大体の出題傾向は同じなので、記述手順を頭に入れておけば、的を外さない解答ができる。
ステップ1 変状要因を確認
劣化した構造物の写真や数値情報(共用経過年、交通状況、防水工の有無や凍結防止剤の散布等…)をもとに挙げられる変状について列挙していきます。
あとで必ず変状の原因を聞かれるので、後の解答も考えながら答えられるものを整理して考えることが重要です。
ステップ2 調査方法
前の問で列挙した変状についての劣化原因を考え、調査方法や試験について解答させることが多い。
重要なのは、1つの劣化原因を特定して書かないようにすることです。
ひび割れパターンが明確な場合でASRが要因だと思っても、それ以外の乾燥収縮や塩害なども想定した調査や試験方法についても記述するべきです。
ステップ3 原因推定
調査方法と同じように取り上げすぎてもだめだが、ASR・中性化・塩害・疲労・化学的浸食等から2つ程度上げることができるはずである。
ここ最近の傾向として、複合劣化(2つ以上の劣化要因)を問題にしていることが多い。(どんな構造物でも大概は複合劣化なので、当然かもしれない。)
A部は○○の劣化、B部は△△の劣化…のように部分によって異なる場合もあるので注意が必要です。
ステップ4 劣化予測
写真や数値情報から判断して、潜伏期、進展期、加速期、劣化期のいずれかを記載する。
ただし、「加速期である」と断定せずに「進展期から加速期の状況である」といったように幅を持たせて書くことがベストです。
ステップ5 補修補強
まずは、補修や補強が必要か劣化予測と合わせて記載していきます。
最近はライフサイクルコストも重要になっているので、あと共用30年のための補修計画といったような問題も出される。
ひとつの工法だけではなく、2つか3つの工法を書いて、「床版取替が一番有効な工法であるが、コストを考えると健全部以外の床版補修を行い全体に床版防水を行うことで今後の劣化を防ぐことが重要」といったような記載方法が試験官に様々な検討方法をわかっているとアピールすることができます。
実際の判断は、発注者によっても違うことから完全な答えはなく、診断士として様々な工法を紹介できるかが重要です。
最後に、維持管理方法についても問われることが多いので、「数年ごとに定期点検を行う必要がある」や「モニタリング調査で継続的に計測する」などと書くことができれば、合格に近づきます。
実際に試験に合格した解答例はこちらの記事でも紹介しています。

最後に
受験者が不安に思っている記述問題について解答例など紹介しました。
ひとつ言えることは、択一が9割程度理解できていれば、後は自分の知識をどうプレゼンするかだけです。普段の業務での知識をここでこそ発揮できるので、不安に思わずひたすら勉強あるのみです。
頑張れ!未来のコンクリート診断士!!